屋内退避とは?指示が出たときに家で行うこと
原子力災害のニュースや訓練で「屋内退避」という言葉を聞くと、「すぐに遠くへ逃げたほうがよいのでは」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、原子力防災では、状況によっては外へ急いで出るよりも、建物の中にとどまるほうが安全につながる場合があります。
こちらの記事では正しい屋内退避のやり方をわかりやすくまとめていきます。
1.屋内退避はなぜ必要なのか?
屋内退避は、放射性物質を吸いこみを減らし建物の壁や屋根で放射線をさえぎるためにおこないます。
家庭、学校、職場、地域の施設などで、みなさんが比較的すぐに取りやすい防護措置になりますが、大切なのは、屋内退避は「自分で勝手に判断して行う行動」ではなく、国・県・市町村などから指示が出たときに、その内容に従って行うものだということです。
原子力施設の状況、風向き、空間放射線量、道路の状況、地震や大雨などほかの災害の状況によってとるべき行動は変わります。だからこそ、SNSの情報やうわさだけで判断せず、公式発表を確認することが最初の行動になります。

2.屋内退避って何をすればいいの?
屋内退避は「家に閉じこもる」ことではありません。正しい情報を得ながら、次の指示が出るまで安全を確保するための一時的な行動です。
家の中で行うことは、とてもシンプルです。家を密閉するイメージで行動をしましょう。
具体的には窓やドアを閉める・換気扇や外気を取り込む空調は、可能な範囲で止めるなどになります。また、洗濯物など屋外にあるものを急いで取り込むために外へ出ることは絶対にNGになります。重要なのは外にでる回数を減らすことです。
もしも、家族が別々の場所にいる場合は、電話がつながりにくくなることもあるため、短いメッセージや災害用伝言サービスなどを利用することでお互いの安否確認をスムーズに行えます。
3.屋内退避中の行動とは?
屋内退避中は、テレビ、ラジオ、自治体の防災行政無線、自治体アプリ、公式サイト、緊急速報メールなどで最新の状況を確認することが必要となります。
情報は何度も更新されることがありますので、「一度きいたから終わり」ではなく、続報を待つことも大切です。
原子力災害でははじめに屋内退避が指示され、その後の測定結果や施設の状況に応じて屋内退避の継続、避難、一時移転などの指示が出る場合があります。指示があった時にすぐに情報をくみ取れるように準備をしておきましょう。
一方で、避けたい行動もあります。
外の様子を見に行く、写真や動画を撮りに出る、根拠のない情報を拡散する、自己判断で遠くへ車で移動する、といった行動は混乱を大きくすることがあります。こういった行動により本当に避難が必要な人、救急車、消防、自治体の車両が動きにくくなります。
つまり屋内退避は、地域全体で安全を確保するための行動でもあります。

4.状況ごとの対処法について
「屋内退避」の指示が出た際に家族と離ればなれの時はどうしたら良いでしょうか?状況ごとの対処法について具体例を出していきます。
<学校・職場の場合>
学校や職場で屋内退避の指示が出た場合は、個人の判断で帰宅しないことが重要です。先生や職場の管理者は、自治体からの情報や施設の計画に基づいて行動を決めます。
その際、家族が心配であっても、外へ出て移動することで、かえってリスクが増えることがあります。平時から「学校にいるときは学校の指示に従う」「職場にいるときは職場の指示に従う」と家族で確認しておくと、緊急時の迷いを減らせます。
<自宅の場合>
集合住宅に住んでいる場合も、基本は同じです。自分の部屋の窓やドアを閉め、外気を入れる設備を確認します。共用廊下やベランダに出続けることは避けます。管理会社や自治会から連絡がある場合は、その内容も確認します。
戸建て住宅では、玄関、勝手口、窓、換気口、給気口、浴室やトイレの換気扇など、外気が入りやすい場所を平時に見ておくとよいでしょう。
<子ども・高齢者がいる場合>
子どもや高齢者と一緒にいる場合は、体調管理も大切です。室内で過ごす時間が長くなると、のどの渇き、暑さ寒さ、トイレ、薬、食事、眠気、不安などが問題になります。
<暑い時期・寒い時期の場合>
暑い時期は熱中症、寒い時期は低体温にも注意します。窓を開けるかどうか、換気をどうするかは状況により異なるため、自治体や関係機関の指示を確認してください。また、水分補給や毛布などの準備も前もってできるとより良いです。
<停電時の場合>
在宅中に停電が起こった場合は、テレビが使えないためラジオやスマートフォンが重要になります。モバイルバッテリー、乾電池、懐中電灯、飲み水、簡単に食べられる食品、常備薬などは平時に前もって準備できると緊急時にも落ち着いて行動できます。
屋内退避中は外出を控えるため、数時間から一定期間、家の中で過ごせる準備があると安心です。ただし、長く続くかどうかは状況によって異なるため、公式発表を確認し続けます。
そして大切なこととして、屋内退避の解除についても自己判断しないことが必要です。外が静かに見えても、放射性物質の状況は目で見ただけではわかりません。
解除、避難、一時移転、飲食物の摂取制限などの情報は、公式発表で確認します。「近所の人が外に出ているから大丈夫」と判断するのではなく、自治体の発表を待ちます。地域全体で同じ情報に基づいて行動することが、混乱を防ぎます。

まとめ
屋内退避は、怖がるための言葉ではありません。状況を見ながら、被ばくを減らし、混乱を避けるための具体的な方法です。
「知ることから、はじめよう。」という姿勢で、平時から意味と手順を知っておけば、いざという時にも落ち着いて行動しやすくなります。繰り返しになりますが、実際の緊急時には、国・県・市町村の公式発表に従い、指示が出た内容に合わせて行動してください。
平時にできる準備としては、
- 自宅の窓や換気扇の場所を確認する。
- 自治体の防災メールやアプリを登録する。
- 家族での連絡方法を決めておく。
- 停電に備えてラジオやモバイルバッテリーを用意する。
- 学校、職場、保育園での対応を確認する。
これらの準備をすることで緊急時に落ち着いた行動をとることができます。
公式資料リンク
・内閣府 原子力防災:おおむね5〜30km圏内の屋内退避について