PAZ・UPZって何?自分の地域が対象か確認しよう
原子力防災について調べていると、「PAZ」「UPZ」という言葉が出てきます。
「PAZ」「UPZ」とは、原子力施設で事故などが発生した場合に備えて、住民を守るための防護措置をあらかじめ準備しておく区域です。
原子力災害では、原子力施設からの距離だけで行動を判断するわけではありません。
原子力施設の状況や緊急時モニタリングの結果などを踏まえて、屋内退避や避難、一時移転などの防護措置が判断され、国・都道府県・市町村などから必要な情報や指示が出されます。
そのため、平時のうちに自分の地域がPAZ・UPZの対象地域に含まれているか、どの自治体の情報を確認すればよいかを知っておくことが大切です。
この記事では、原子力防災の基礎となる「PAZ」「UPZ」について、その違いや自分の地域を確認する方法をわかりやすく紹介します。
1.PAZ・UPZって何?
PAZとは?
「PAZ」は、Precautionary Action Zoneの略で、日本語では「予防的防護措置を準備する区域」といいます。発電用原子炉の場合、原子力施設からおおむね5kmを目安とする区域です。
PAZでは、急速に進展する事故にも対応できるよう、放射性物質が放出される前の段階から、原子力施設の状況に応じて避難などの予防的な防護措置をとることが想定されています。
原子力施設の状態が一定の基準に達した場合には、放射線量の測定結果を待ってからではなく、国・都道府県・市町村などから避難などの指示が出されることがあります。
PAZに住んでいる場合でも、原子力事故が起きたという情報だけで自己判断して避難するのではなく、国・都道府県・市町村などから発表される最新の公式情報や指示を確認して行動することが大切です。
UPZとは?
「UPZ」は、Urgent Protective Action Planning Zoneの略で、日本語では「緊急防護措置を準備する区域」といいます。発電用原子炉の場合、PAZの外側のおおむね5〜30kmを目安とする区域です。
UPZでは、全面緊急事態となった場合、放射性物質が放出される前の段階から屋内退避を行うことが基本とされています。
屋内退避とは、自宅や建物の中に入り、ドアや窓を閉めるなどして、放射性物質による被ばくをできるだけ低減するための防護措置です。
その後、放射性物質が環境中に放出された場合には、緊急時モニタリングの結果などを踏まえて、必要な地域に避難や一時移転などの指示が出されることがあります。
そのため、UPZに住んでいるからといって、原子力事故が起きた直後に全員が一斉に避難するわけではありません。国・都道府県・市町村などから発表される最新の公式情報や指示を確認し、その内容に従って行動することが大切です。
PAZ・UPZを確認するときの注意点
発電用原子炉の場合、PAZは原子力施設からおおむね5km、UPZはおおむね5〜30kmを目安としています。ただし、この距離だけを見て、自分の住んでいる場所がPAZ・UPZに含まれているかを判断するのではありません。
実際に対象となる市町村や地区は、都道府県や市町村の地域防災計画、避難計画などで示されています。自分の地域について調べるときは、原子力施設からの距離だけで判断せず、自治体が公表している対象地区や避難計画を確認しましょう。
また、原子力施設には発電用原子炉だけでなく、試験研究用原子炉や核燃料を扱う施設などもあります。施設の種類や規模などによって、原子力災害対策重点区域の考え方や範囲が異なる場合があるため、自分の地域については、都道府県や市町村が公表している最新の情報を確認してください。

2.自分の地域が対象か確認する方法
自分の住んでいる地域がPAZ・UPZに含まれているかを調べるときは、まず都道府県や市町村の公式サイトを見てみましょう。
自治体の公式サイトでは、「原子力防災」「地域防災計画」「避難計画」「原子力災害対策重点区域」「PAZ」「UPZ」などの言葉で検索すると、対象となる地区や避難計画などが見つかる場合があります。
自治体によっては、原子力防災ハンドブックや住民向けパンフレット、地区ごとの避難先なども公開されています。
あわせて、次の5つを見ておくと整理しやすくなります。
- 自宅がPAZ・UPZの対象地域に含まれているか(市町村名だけでなく、町名や地区名まで確認)
- 学校や職場、保育園など、普段過ごす場所が対象地域に含まれているか
- 自分の地域の避難先や一時集合場所などが決められているか
- 緊急時の情報がどのような方法で伝えられるか
- 高齢者、障がいのある人、乳幼児、妊婦など、避難時などに支援が必要な家族がいる場合の相談先や支援体制
原子力災害は、自宅にいるときに発生するとは限りません。自宅だけでなく、学校や職場など、家族が普段過ごす場所についても、対象地域に含まれているかや災害時の対応を調べておきましょう。
また、学校や職場では、災害時の待機方法や保護者への引き渡しなどが決められている場合があります。平時のうちに、それぞれの場所でどのような対応が予定されているか把握しておくと、緊急時にも対応しやすくなります。
3.PAZ・UPZのよくある勘違い
PAZ・UPZには、区域の意味や災害時の行動について誤解されやすい点があります。
「UPZなら、事故が起きたらすぐに避難する?」
UPZでは、原子力施設が全面緊急事態となった場合、まず屋内退避を行うことが基本とされています。
その後、放射性物質が環境中に放出された場合には、緊急時モニタリングの結果などを踏まえて、必要な地域に避難や一時移転などの指示が出されます。
そのため、原子力事故が発生したという情報だけで自己判断して避難を始めるのではなく、国・都道府県・市町村などから発表される最新の公式情報や指示を確認することが大切です。
「自宅がPAZ・UPZの外なら、原子力防災は関係ない?」
自宅がPAZ・UPZの対象地域に含まれていなくても、学校や職場など、家族が普段過ごす場所が対象地域に含まれている場合があります。
また、災害時には現在いる場所によって、確認すべき情報や取るべき行動が異なる場合があります。
自宅だけでなく、家族が普段過ごしている場所についても、平時のうちに自治体の防災情報を確認しておきましょう。
「原子力施設からの距離を測ればPAZ・UPZが分かる?」
PAZ・UPZの範囲は、発電用原子炉の場合、PAZがおおむね5km、UPZがPAZの外側のおおむね5〜30kmを目安としています。
ただし、自分の住んでいる地域が実際に対象となっているかは、距離だけで判断せず、都道府県や市町村が公表している地域防災計画や避難計画などで確かめましょう。
まとめ
PAZ・UPZは、原子力災害が発生した場合に備えて、防護措置をあらかじめ準備しておく区域です。
発電用原子炉の場合、PAZは原子力施設からおおむね5kmを目安とする区域で、放射性物質が放出される前の段階から、施設の状況に応じて避難などの予防的な防護措置をとることが想定されています。
UPZはPAZの外側のおおむね5〜30kmを目安とする区域で、全面緊急事態となった場合は屋内退避を行い、その後、緊急時モニタリングの結果などを踏まえて、必要な地域に避難や一時移転などの指示が出されることがあります。
平時には、自宅だけでなく学校や職場などがPAZ・UPZの対象地域に含まれているか、都道府県や市町村の地域防災計画や避難計画などで確認しておきましょう。
実際の原子力災害時には、自己判断だけで行動せず、国・都道府県・市町村などから発表される最新の公式情報や指示を確認し、その内容に従って行動しましょう。
参考・公的資料
- 原子力規制委員会:原子力災害対策指針に基づく防護措置の考え方
- 原子力規制委員会:原子力災害対策
- 内閣府 原子力防災:よくある御質問
- 内閣府 原子力防災:原子力発電所からおおむね5〜30km圏内にお住まいのみなさまが行う屋内退避について
内容確認日:2026年9月30日
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